2025年10月~2026年9月
奈良県にある重症心身障害児・者施設にて新人・2年目セラピストの指導・教育を行いました。
サポート依頼の経緯
2025年9月ごろにこの施設に勤める新人作業療法士さんから連絡をいただきました。
「2025年4月から入職したが、それまでにいた作業療法士は前年度末で退職し現在は作業療法士は1人の状態。理学療法士、言語聴覚士は在籍しているが、作業療法士の指導は作業療法士が良いだろうという事で連絡させていただきました」
というメッセージをLineでいただきました。
実はこの作業療法士さん、学生の時から知っていたんですよね。というのもこの作業療法士さんのお母さんの勤務先で、1年半ほど一緒に働いていたんですよね。お母さんの勤務先で作業療法士が育休を取るという事で、1年半ほど育休代行的な感じで働いていました。その時にこの作業療法士さん(当時は学生)が僕の臨床場面を見学に来ていました。
そんなご縁で連絡をいただきましたが、さらにびっくりしたのは作業療法士さんの上司はかつて私が勤務していたところの看護師さんだったんですよね。そんなご縁もあり指導の連絡をいただいたんですよね。
上司も元職場で知り合い、作業療法士も実は知り合いだったなんてなかなかないご縁ですよね。
サポートの実際
私がサポートを開始した時点では、勤務している作業療法士は1名でした。
2025年10月~2025年3月までは月2回サポートとして勤務。
2026年4月になって新人作業療法士2名がやってきましたので、4月~9月末は月4回サポートとして勤務しました。
私の役割は、出勤日に作業療法士の臨床指導をすること、空き時間に作業療法士としての基本的なアプローチや考え方について講義を行いました。
9時半ごろに出勤。10時~16時半まで作業療法士にマンツーマンで臨床指導。ケースの治療場面に私がマンツーマンでついて直接指導です。いわゆるSVをしていました。毎回約5ケースほどですね。
16時半~17時半の間に振り返りと講義をしていました。
講義のテーマは毎回変わります。
新人であったとので、基礎の部分から講義や実技指導などを行いました。
同時に、事業所内での多職種連携の講義や、具体的にどのようにしてコミュニケーションを取りながら連携を進めていくのかという事を伝えていきました。
時間があれば、理学療法士さんや言語聴覚士さんにもアドバイスをしていました。
指導や教育のポイント
新人・2年目のサポートでした。30代の経験者ではないので、作業療法士としての基本的なことを中心に指導しました。また施設には1歳の子どもさんから高齢の方まで幅広い年齢層、疾患の方がいましたのでそれそれの状態に応じた作業療法アプローチについても伝えています。
作業療法士の基礎
- 評価の進め方(乳幼児、高齢者それぞれについて)
- ハンドリング(触り方、動かし方)
- 運動機能、認知機能、ADL機能についての基礎的講義
- 対象者さんとのコミュニケーション
- 観察という評価の重要性
- スタッフとのコミュニケーション
基本的には出勤すると、1日のスケジュールが決まっておりそれに従ってマンツーマンの指導を行います。そのマンツーマンの指導の中で、上記のような事柄について指導を進めていました。
また夕方には30分ほどの時間がありましたので、実技などを含めたミニ講義をしていました。
リハビリテーションの視点
どこの事業所でもそうですが、スタッフの多くは技術的な指導を求める傾向にあります。でもリハビリテーションを進めるうえで大切なのは広い視野だと私は考えています。だから、目の前のケースの指導を実践するとともにそれらに関連した広い視点についても伝えるよう心掛けていました。
- 作業療法士としての学びの進め方
- 様々な領域や年齢層の対象者がいることについて
- 給料の使い方
- 自己研鑽や職能団体とのかかわりについて
- キャリア形成について
私自身の経験を踏まえながらこのようなことも伝えていました。
契約期間や勤務形態のこと
この施設は、診療報酬の体形で運営されています。
非常勤契約という形で私は勤務しました。本来であれば、2026年4月入職した2名の作業療法士がしっかり動けるよう2027年3月末まで勤務したかったのですが、2026年9月末までしか勤務できませんでした。
診療報酬で事業を運営している以上、個別のリハを実施しなければ売り上げは出ません。
そんな中で、私一人だけ臨床指導を行うという事は、私は売り上げを出さないスタッフという事になります。だけれども人件費は発生する。まあ私一人の雇用を見れば赤字という事になりますね。
そんなこともあり期間限定でのサポートとなりました。
サポートに対しての考え方
私はお仕事をいただく側ですので、依頼元に対して不満はありません。今回は費用対効果を考えての期間限定での契約となっていましたので、そのことについては納得しています。
ここから先は私個人の見解です。
サポートの中には、マンツーマンでの指導や、講義や同行や業務への介入やいろいろなスタイルがあります。おそらくそんな中で、私がいることで収入が発生するということはないでしょう。むしろ私へ支払っていただく人件費で出費は増えるけど収入は増えない。
「教育・指導・研修」に対して事業所がどれくらいの予算を組んでいるのか、どれくらいの期間でどれくらいのレベルに到達することを希望されているのか、そのために作業療法士の山田を雇用するメリットがあるのか?という部分が事業所としての経営者さんや管理者さんの判断になるのだろうなと考えています。
他のコラムにもよく書くことですが、私は作業療法士として特殊な技術を持っているわけでも論文で実績を残しているわけでもありません。しいて私が他の作業療法士と比べて秀でているだろうなという部分をあげるとすると
- 多くの職場・多くの領域を経験して、他の作業療法士よりも視野が広いこと
- 多くの職場を経験することで他の作業療法士よりもコミュニケーション能力が高いこと
- 多職種と連携してきたから、わかりやすく伝えることが出来ること
こんな部分が私の強みだと捉えています。
今回紹介した奈良県の重症心身障害児・者施設の場合は新人スタッフが中心でしたので手取り足取りという形での指導や教育となりました。しかし、これまでサポートしてきた事業所の多くは新人ではなく経験者さんへの指導がほとんどなんです。
そんな経験者さんへの教育やサポートでは、サポート先の職員さんの動きや関わり方を見ながら、具体的にアドバイスをします。そのアドバイスの多くは、特別な技能を求めるようなものではありません。
それぞれの職場で色んな職員がそれぞれプロフェッショナルとしてお仕事されいます。その仕事が明らかにダメダメでサポート先でダメ出しばかりするようなことはこれまで一度もありません。
むしろ、私が関わったサポート先のスタッフの多くは「今の支援の方法で良いのだろうか?」「もっと良いかかわり方や支援の仕方があるんじゃないか?」「何か勉強したほうがいいのだろうか?」という漠然とした不安や悩みを抱えておられる方が多くいました。
経験者さんや現場職員さんへの指導の多くは、「それダメですよ」ではなくて、「こんな工夫もできるんじゃないかな?」というような形での、普段不安を抱えている職員さんの背中を押すようなサポートをすることだと考えています。
また、今回の奈良の施設でも管理職スタッフに伝えたことは、「部門の方針や目標を明確にすること」です。
いろいろなサポート先で、業務の方針や目標があいまいだから、職員さんが自信をもって支援出来ないという事も経験しました。そんな経験から、現場でのサポートだけではなく、管理職さんや経営者さんとしっかりと打ち合わせをしながら、どのような部門運営、どのような事業運営をしたいのかという事を明確にしたうえで、職員さんの支援や関わり方の質の向上図るためのサポーを賭していくことが重要だと考えています。
そのために、支援やサポートを開始するにあたっては、まず経営者さんや管理者さんとの打ち合わせが重要となります。その打ち合わせががサポートの第一歩となるのです。


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